仏さまはいくら?
2016.7 桃谷法信
 先月25日、曲川小学校の2年生10名がお寺の見学にみえました。約400年前の建物(本堂)の見学とお寺の活動を聞きにやってきたのです。
以前、大山小学校で6年生を担任した時、隣クラスの担任だった宮崎利夫先生と保護者3名の方が引率してこられました。
 150年前に、大山の龍泉寺(普門院)の本堂を移築したこと、柱や彫刻などは、元禄時代(1688〜1704)のもので、400年もたっていること、内陣の説明(ご本尊は阿弥陀如来、右が親鸞聖人、左が蓮如上人、右余間が聖徳太子、左余間が七高僧様)、そのほか、納骨所や門信徒会館も案内しました。
 子どもたちは、いろいろ聞きたいことを考えてきていました。
お坊さんの仕事や、お参りのこと、鐘撞のこと、・・・想定内の質問だったので、ほっとしました。
 というのは、有田町の社会福祉協議会が夏休みに実施しているキラキラ(共働きの児童を預かる事業)の子どもたちが毎年座禅(座禅といっても静かに10〜20分黙想すること)をしにやってくるのですが、2年ほど前に、考えさせられる質問をした子がいたからです。それは、次のような質問でした。
 「あの真ん中の仏さんが阿弥陀如来様ということはわかりました。あのピカピカの阿弥陀さんはいくらするのですか?」
 考えたこともない質問だったので、ちょっとおどろきました。うーん、阿弥陀さんの値段はいくらなのだろう。値段があるのかなと思ったので、その子に聞きました。
 「君にはお母さんがいるでしょう。お母さんの値段はいくらですか?」
 その子は一瞬上目遣いになりました。他の子の野次が飛び交います。「一億万円!」「3000円」・・・
でも、その子は、「わかりません。」と言いました。
 このお寺の御本尊は、阿弥陀様。本当に尊いものには、値段はつけられません。変えることのできないもの、かけがえのないものには、値段は、つけられないのです。お父さん、お母さん、家族、太陽、地球、・・・・
 だから、仏さまにも値段がつけられないのです。
そんな風に言うと、その子は、嬉しそうに微笑みました。
 お釈迦様の「即便微笑」を味あわせていただきました。


こんな滅茶苦茶、なんで?

 7月1日、もう滅茶苦茶です。その日に生きていたことを後悔することの無いように念ずるばかりです。「なんで戦争に反対せんやったと?」と孫に聞かれた時、僕も母と同じように、悲しい顔をすることになるのでしょう
 大坂冬の陣、夏の陣と堀を埋め立てられたように、70年間守り続けてきた平和の砦が、崩れかけています。
 経済界やアメリカの思惑を、なりふり構わず独裁的につき進めていくその精神構造は、人間の皮を冠った餓鬼そのものです。
 仮想敵を作り出し、戦う準備を進めることは、死の商人の懐を肥やすばかりで、純情な心優しい人が真っ先に犠牲になる戦争に道を開く、まったく馬鹿げた愚かな行為です。
 「悪法も法なり。」ソウラテスの悲しいつぶやきが聞こえます。
日本のあちこちでテロ行為が頻発する事態や、災害救助や人命尊重で入隊した自衛隊の若者が、人殺しを強要される事態がこないように願うばかりです。
 戦争をさせない10000人委員会(佐賀)の呼びかけ人の一人として、せつに、そう思います。


本願寺御門主 御譲渡 

 6月5日、第24代即如ご門主から専如新門様に「鍵」「印」「衣」が譲渡され、6月6日、第25代専如様が法統を継承されました。専如ご門主は、その「法統継承の御消息」で、
「自信教人信」のお言葉をいただき、現代の苦悩をともに背負い、御同朋の社会をめざして皆様と歩んでいきたいと思います。
と述べられています。そして、
 本願念仏のご法義は、時代や社会が変化しても変わることはありませんが、ご法義の伝え方は、その変化とともに変わっていかなければならないでしょう。…宗門の英知を結集する必要があります。と教示されました。
 全く同感です。ものを申せ、ものを申せと蓮如様もご催促です。
たくさんのご英知を、お寄せください。


言葉を味わう D 水想(すいそう) 

 6月は、梅雨の季節、紫陽花や半夏生、庭石など、雨に濡れて輝きを増していく景色は、まさに6月ならではの風情です。
 お寺のまわりの田んぼは、みんな田植えが終わりました。夏至の11日めを半夏生(はんげしょう)というのだそうですが、田植えが終わることを示す72候の一つだそうです。
 先日、鹿児島でお葬式を済まされた方の遷座納骨法要をしました。
法名は、「釋水想」と名付けられていました、法要の法話は、名付けられた「水想」という言葉の出典について、お話しさせていただきました。
 観無量寿経の浄土を観想する方法の第2に、水想観という観法が示されています。水の清らかで澄み切ったさまを思い、氷になることを思い、瑠璃となり、すべてのいのちを生かしている大地(浄土)を思うことと説かれています。またその変幻自在のありようは、器に従い、形を変え、蒸気や氷にもなりますが、その本質は何ら変わることの無いH2Oなのです。自由自在の救いという阿弥陀如来のはたらきをも示されているのです。


 
7月の行事予定

●7月は、むりょうじゅ会はお休みです。
●7月の月参りもお休みです。
●お盆参りの日程は、下記のように予定しています。

 地区
12土  ご希望の方
13日  初盆、上本、有田方面、舞原、大山方面
14月  原明、下本、楠木原
15火  黒川、北の川内

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